私の恋がはじまった日
数学のプリントを先生に提出して、二人で昇降口へ向かう。
「藤宮くん今日は本当にありがとう!藤宮くんって優しいんだね!」
そう藤宮くんにお礼を伝えると、藤宮くんはにっと口角を上げた。
「お前だから優しくしてる」
「へ?」
藤宮くんの言葉がうまく理解できなくて、私はすっとんきょうな声を出してしまった。
「お前じゃなかったら、わざわざ教えたりなんかしない」
えっと、それはどういうこと?
私はぱちぱちと瞬きをくりかえす。
藤宮くんは浅くため息をついた。
「忘れてるんだな、やっぱり」
「え?えっと??」
なにを言われているのかわからなくて、私の頭は混乱するばかり。
私と藤宮くんって、むかしどこかで会ったことある…?