私の恋がはじまった日
「みおちん!ゆきのん!試合、超動いてるよっ」
桜ちゃんの声にコートに意識を戻すと、たしかに試合は両チーム譲らずの攻防戦をくり広げていた。
点数も取ったり取られたり。
「みおちん!三浦くんに声かけてあげなよ!」
「え?」
「みおちんから応援されたら、絶対うれしいって!」
桜ちゃんにうながされて、私は思い切って椿に声をかけてみることにした。
「つばきー!がんばれーー!!」
私の声は届いたのか届かなかったのか、椿は仲間からのパスを華麗にゴールへとつなげた。
「おおっ!今のは絶対みおちんの応援のおかげだねっ」
「だね」
桜ちゃんだけでなく雪乃ちゃんまでそんなことを言うものだから、なんだかやたらと恥ずかしいよ。
試合も後半に突入して、ラスト10分。
試合の流れが変わったのは、それまで仲間にうまくパスを回していた藤宮くんがシュートを決めてからだった。
ゴールから少し離れた距離からボールを投げて、それがうまく決まったんだ。
体育館に一際大きな歓声が響きわたる。
「すごい!今のシュートってなんか名前ついてたよね!?」
興奮する桜ちゃんに、雪乃ちゃんが冷静に返す。
「スリーポイントシュートかな」
「きゃー!かっこいいっ!」
私も思わず「わー」と声を上げて、手をたたいた。
藤宮くんすごい…!勉強もできるし、運動もできちゃうんだ。
それからは藤宮くんの攻撃が続いて、接戦の末、藤宮くんたちのチームが勝利をおさめた。