私の恋がはじまった日
「ふ、藤宮くん…!」
「お前、やっぱりドジなんだな」
「ええっ!」
「この前といい、むかしといい、そそかっしいと言うか、危なっかしいというか」
恥ずかしさで頬に熱が集まってくるのがわかる。
転んでノートを落とすなんて、なんだか恥ずかしいところを見られちゃった…。
「少しはだれかを頼れば?クラスの男子とか。幼なじみだっているだろ」
「まあそうだけど…」
「あの幼なじみなら、佐藤のために飛んでくると思うけど?」
「ええ?そうかなぁ…」
「…バスケだってそうだったし」
「バスケ……?でもこれくらい一人で大丈夫かな、って。…結局落としちゃったけど…」
情けなさから苦笑いがもれる。
藤宮くんは呆れたようにノートを拾ってくれた。
最後に拾ったノートを山に乗せようとして、…あれ?動かなくなっちゃった。
「藤宮くん?どうかした?」
藤宮くんはノートを手に、それをじっと見つめていた。
「これ」
藤宮くんに見せられたのは、私の社会のノートだった。
「あ、それ私のノートだ」
私の社会のノートの表紙にはシールが貼ってある。しろくまと桜のシール。
どの教科にもなにかしらのシールを貼っているんだけど、それがどうかしたのかな?
「えっと、なにか変だった?」
私は藤宮くんの様子をうかがいながら、おそるおそる尋ねる。
ノートにシールをベタベタ貼るなんて、もしかして中学二年生にもなって幼稚だと思ったのかも…。