私の恋がはじまった日

 藤宮くんはこちらに顔を寄せると、私の顔を自分の方に引き寄せた。


 藤宮くんの整った顔があまりに近くにあって、私の胸はうるさいくらいに動きはじめた。


「思い出させてやろうか?」


 キスしてしまいそうな距離でそんなことを言われて、私の顔はボンっと音を立てるくらいに真っ赤になった。


 余計になにも考えられないし、頭が…くらくらしてきた…。


「あ、あの……」


 力が抜けて、私は廊下にペタンと座りこんでしまった。


「悪い、ちょっとからかいすぎた」


「か、からかう…?」


 冗談だったってこと?


 どこからどこまで?なにが冗談??


 藤宮くんは私に手を差し伸べると、ゆっくりと立たせてくれた。


 ぱちっと目が合って、私はあわてて視線をそらした。


 こんな真っ赤な顔、見られるの恥ずかしすぎるよ…!


 藤宮くんがまた小さく笑ったような気がした。


「ドキッとしたか?」


「~~っっ!!」


 藤宮くんってこんな人なの!?


 この前は優しく勉強見てくれたのに。


 からかってくるような人だったなんて…!


 藤宮くんと接する度、彼に抱いていた印象が変わる。


 この人は一体、どんなひとなんだろう……?


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