私の恋がはじまった日
店内には数匹のねこちゃんたちがいて、みんな思い思いにのんびり過ごしてるみたいだった。
「あれ…お客さんは私たちだけ…?」
店内にいるのはねこちゃんだけ。私たち以外のお客さんはいないようだった。
「いらっしゃい」
奥からきれいなお姉さんが出てくる。
「あ、こ、こんにちは!」
「こんにちは。あなたが佐藤 美音さんね?」
「え?は、はい!」
「祐輔から話は聞いてるわ。今日はゆっくりしていってね」
祐輔…って、菅原先輩…?
私は首をかしげながら先輩の方を振り返る。
「ここは僕の姉のお店なんだ。来週からオープン予定で、今日はお試し営業って感じかな」
菅原先輩のお姉さん…!!
たしかに言われてみれば菅原先輩に雰囲気が似てる気がする…!
先輩にお姉さんがいるなんて知らなかった!
「僕たちしかいないから、好きな席に座ってね」
「はい!ありがとうございます!」
私は手近な席に座って、ぽてぽてと歩くねこちゃんをながめる。
ううう…!!なんてかわいいの!!見てるだけで癒されるよ~!
「佐藤さん、お腹空いてるでしょ?なにか食べる?」
「食べます!」
菅原先輩に見せてもらったメニュー表から、私はパスタとケーキセットを頼んだ。
しばらくして、先輩のお姉さんが料理を運んできてくれた。
お肉がごろっと入っていてチーズのたくさんかかったミートソースパスタを目の前にして、私ののどがごくりと鳴った。
「どうぞ、召し上がれ」
「いただきます!」