私の恋がはじまった日

10、相合い傘


 なんだか毎日が目まぐるしい。


 二年生になって、勉強も部活も大忙しの日々だ。


 それなのに……。


 藤宮くんにされたことも、椿に言われたことも、菅原先輩の不思議な態度も。


 そのどれもが私の頭の中をぐるぐるしてる。


 みんなどうしてこんなに私をドキドキさせるようなことをするんだろう…?


 考えても仕方のないことだとはわかっていても、どうしても頭をよぎってしまう。


「だめだめ!またぼーっとして迷惑をかけないようにしなきゃ!」


 今日のサッカー部の活動は、基礎練と軽い試合。


 いつもどおりの練習ではあったんだけど、今日は他のマネージャーの子たちがたまたまお休みで、私一人でちょっとばたばたしてしまった。


 部員のみんなも片付けを手伝ってくれたから、そっちは早く終わったんだけど、スコアやみんなの今日の記録なんかは、マネージャーの仕事。それをコーチに提出して帰るんだ。


 今日はマネージャーが私一人だったから、ちょっと時間がかかっちゃった。


 それでもしっかり終わらせられたことにほっとする。


 部活中は学校のジャージを着ている。部活も終わったしさっさと着替えて帰ろう!


 そう思って帰り支度をして昇降口に向かったんだけど……。


「え、土砂降り…?」


 外はバケツをひっくり返したような大雨が降っていた。


 ついさっきまで校庭で部活をしていて、そのときは雨の降るようすなんてまったくなかった。


「傘、持ってきてない…」


 そういえばお母さんが今朝、帰り雨に降られるかもよ、って言ってた気がする…。


「あ、そうだ!折り畳み傘!」


 私は教室のロッカーに折り畳み傘を置いていることを思い出した。

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