私の恋がはじまった日
ピカッッ!!!
辺り一面がいっそう明るくなった。
かと思うと、ドーンっと地鳴りのような音が響き渡る。
「きゃっ…!!」
私はあわてて耳をふさいだ。
うう~雷は苦手なのに……。早く帰りたい、どうしよう……。
「佐藤」
「ひゃあっ!!!??」
肩になにかが触れて、私は飛び上がった。
あわてて距離をとってから確認すると、目の前には藤宮くんが立っていた。
「ふ、藤宮くん!?!?」
「驚かせるつもりはなかったんだけど」
肩に触れたのは、藤宮くんの手だったみたい。び、びっくりしたぁ…。
「こんなところでなにしてんの?」
そういえば、藤宮くんと二人きりで話すの、この前以来だ。
まだどんな顔して話していいのかわからないよ…。
私は視線を雨にうつして、小さく答える。
「帰ろうと思ったんだけど、雨が降ってきちゃって…。藤宮くんこそ、どうしてこんなに帰りが遅いの?部活入ってたっけ?」
「いや、委員会の集まりがあったんだ。で、そのあとは委員会の当番」
「そ、そうなんだ…」
よかった…。ふつうに話せてる。
藤宮くん、油断するとすぐに私のことからかってくるから。
「で、佐藤は傘を忘れて、途方にくれてたんだな」
「うっ…」
「本当、ドジだな、お前」
「ううっ…!」
でも今日ばかりは言い返せない。
お母さんにも言われてたのに、傘を忘れてきちゃったんだもん…。
私ががっくりと肩を落としていると、藤宮くんは靴に履き替えて、折り畳み傘を広げた。