私の恋がはじまった日
11、波乱の体育祭
この前の大雨が嘘みたいに晴れて暖かな日が続いていた。
そんなとある土曜日。
私たちの中学校では体育祭が行われていた。
応援席に座りながら、体育祭のプログラムを確認する。
午前の部の競技はつつがなく進行していて、中盤にさしかかっていた。
「ふー、疲れたー」
応戦席に戻ってきた椿は、自分の椅子にどかっと腰を降ろす。
「お疲れ様、椿」
「おーサンキュ」
椿は水筒のお茶をがぶがぶ飲みながら、タオルで汗をふいた。
運動神経のいい椿はいろんな競技に引っ張りだこで、どのリレーも参加するみたい。さすが陸上部のエース。
「さて、次の競技の準備に行ってくる」
「え、もう?」
椿はさくっと休憩すると、さっさと入場門の方へ行ってしまった。
「美音、あたしも行ってくる」
「あ、がんばってね、雪乃ちゃん」
日傘をさして、日焼け対策ばっちりの雪乃ちゃんは、傘を畳むと、同じく入場門へと向かった。
「次の競技ってなんだっけ?」
私がプログラムを確認していると、桜ちゃんが「次は借り物競争だよっ」と教えてくれた。
私が参加する競技はまだまだ先みたい。
まだゆっくり競技を見ていられるな、とのんびりかまえてグラウンド内を見つめる。
紙を拾った生徒たちがきょろきょろと辺りを見回していて、その指示の借り物を探してるみたい。
みんなどんなお題が出てるんだろう?
ぼーっと見ているうちに、うちのクラスの番になったみたいで、雪乃ちゃんが走っているのが見えた。
雪乃ちゃんは古典のおじいちゃん先生を捕まえると、のんびりとゴールへ向かう。