私の恋がはじまった日
「美音が借り物競争のお題にぴったりなんだ!だからいっしょにきて!」
「佐藤、なにも言わずについてきてくれ」
「え?え?」
二人に腕を引っ張られて、私は困ってしまった。
「ど、どっちといっしょに行けばいいの?」
「俺が先に声かけたんだから、俺だろ!」
「三浦のお題がなにか知らないけど、佐藤は俺と来て」
「え、え~?」
藤宮くんと椿はごちゃごちゃ言い合いながら、結局私たちは三人でゴールした。
ビリになっちゃったけど…。
「藤宮が余計なことするからビリになっちゃったじゃんか!」
「三浦が邪魔してくるからだろ」
「ちょ、ちょっと二人とも!そんなにむきにならなくても…」
「つーか、藤宮のお題ってなんだよ?美音じゃなきゃだめだったの?」
「お前こそ別に佐藤じゃなくてもいいだろ」
「なんとなくこの前から気に食わないと思ってたけど、藤宮まさか、」
「と、とにかく、二人のお題教えてほしいなぁ~!」
なんだかむきになってしまっている二人の間にあわてて割って入る。
純粋に私に当てはまるお題というのも気になる。
「俺のお題はこれ!」
椿が見せてくれた紙には、『大切な女の子』の文字が。
「大切な女の子…」
私はその文字を見て、なんだか照れくさくなってしまった。
椿は私を大切に思ってくれてるんだなって。
「えへへ、ありがと、椿」
「おう!」と言ってにかっ笑う椿。