私の恋がはじまった日
「佐藤さん」
「あ、菅原先輩!」
お手洗いから応援席に戻る途中、応援合戦を終えたばかりの菅原先輩と遭遇した。
「先輩、お疲れさまです!応援団、かっこよかったです」
「ありがとう、みんなが午後もがんばれるように精一杯応援しました」
そう言ってにこりと笑う菅原先輩の笑顔はまぶしかった。
「佐藤さんも、競技は午後から?」
「はい!」
「怪我しないようにがんばってね」
「ありがとうございます!」
「それじゃあ、また」
「はい」
菅原先輩はそのまま自分の応援席に戻ろうとして、くるりと踵を返してこちらに戻ってきた。
「先輩?」
「佐藤さん、さっきの。俺から佐藤さんにだけ、特別なエールね?」
そう言って菅原先輩はさっきと同じようにウインクした。
「あ、」
もしかして、さっきの応援合戦のウインクは、私に…?
ドキッとしてしまった私に、穏やかに微笑んだ菅原先輩。
午後の競技もがんばれそう…?