私の恋がはじまった日

「別に…それは俺の力じゃないだろ」


「ううん!きみのおかげだよ!」


「……あっそ」


 このしろくまのマスコットキーホルダーはおばあちゃんが入学祝いに作ってくれたもの。


 美音が学校で楽しく過ごせますように見守ってあげてね、って気持ちをこめてくれた大切なものだったの。


 だからどうしても見つけたかったんだ。


「ありがとう!」


 私は彼の手をぎゅっと握ってお礼を伝えた。


「もうなくすなよ。お前そそっかしいし、ドジそうだから」


「うん!ぜったいになくさない!」


 キーホルダーは無事に見つかって、今日でこうやって探すのもおしまい。


 ということは、もうこの子といっしょに会うこともなくなっちゃうのかな?


 急にさびしくなった私は、あわてて彼を引きとめた。


「ねえ、もう会うことなくなっちゃう?また会える?」


「…会えるだろ。お互いここが通学路なんだし」


「そっか!」


 ほっと胸をなでおろした私は、今までのことを思い出して、気持ちがあふれてしまった。


「私、きみのこと大好き!これからも友達でいようね!」


 私の言葉に、目をぱちくりさせていた彼。


 でもその日が最後になってしまって、結局それから彼に会うことはなかったんだ…。


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