私の恋がはじまった日

「位置について、よーい……」


 パンっと、スターターピストルが鳴って、私たちは走り出した。


 細い平均台を歩いたり、スプーンにピンポン玉を乗せて歩いたり…。


 あとは網をくぐってゴールまで走れば終わり。


 ってところで、靴ひもが解けちゃった!


 私はその靴ひもに足を取られて、思いっきり転んでしまった。


  い、痛い……。


 ひざがすりむけてしまって、血が出てきた…。


 ものすごく痛かったけれど、私はその痛みを我慢して、なんとかゴールまで走りきった。


 結果は三位。


 転ばなかったら、もしかしたら一位を取れたのかな…。


 少し落ちこみながら、応援席に戻る。


 応援席に戻ると、みんながあわててこちらに駆け寄ってきてくれた。


「美音、大丈夫か?」


「みおちん、ひざ痛そう…」


「美音、保健室行こう」


 椿、桜ちゃん、雪乃ちゃんが心配そうに私に声をかけてくれる。


「ありがとう、大丈夫だよ。でも保健室で見てもらってくるね」


 私は痛みに堪えながら、みんなに笑顔を向ける。


 すると足首の辺りがずきんっと強く痛んだ。


 ひざのすりむいた傷ばかりが痛いのだと思っていたけど、もしかしたら足首もひねっちゃったのかもしれない。


「美音、俺の肩つかまって。保健室まで連れてく」


 椿はそう言ってくれたけれど、次は学年混合リレーだと放送が告げている。


 このリレーにも、椿は出場するはずだ。


「一人で大丈夫!椿はリレー行って」

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