私の恋がはじまった日

 くらくらした頭で応援席に戻ると、そこには椿に桜ちゃん、雪乃ちゃん、菅原先輩、までいた。


「美音!大丈夫か!?」


 椿があわててこちらに駆け寄ってきた。


「だ、大丈夫だよ!ちゃんと治療してもらったから」


 そう説明すると椿はほっとしたように表情をゆるめた。


「よかった…。ちゃんと安静にしてろよ?」


「う、うん、わかってるって」


「三浦くん、リレー超かっこよかったんだよっ!」


 桜ちゃんの言葉に椿はブイサインを出した。


「約束通り、ちゃんと一位取ってきた!」


「すごいっ!さすが椿だね」


 ふふんっと鼻高々だった椿は、私の後ろの藤宮くんに視線をうつすと、少し不満そうに声をかけた。


「で、藤宮がなんで美音といっしょにいるんだよ?」


「あ、それは…」


 藤宮くんにだっこして保健室に連れて行ってもらったこと、治療してもらったこと、会いたいと思っていた男の子が藤宮くんだったこと、そして…。


『俺は佐藤のこと好きだけど?』


 藤宮くんに告白されたこと。


 どう説明していいのかわからなくて、すぐには言葉が出てこなかった。


「保健委員だから、佐藤を保健室に連れて行っただけ」


「え、そうなの?」


 私も初耳の情報に、平然と「そうだけど」と答える藤宮くん。

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