私の恋がはじまった日

13、これって嫉妬?


 藤宮くんに言われたことがぐるぐると頭の中をめぐる。


 ずっと会いたいと思っていた男の子が藤宮くんだったってだけでも驚きなのに、その藤宮くんから告白されるなんて…。


 藤宮くんのことは好きだと思う。


 でも椿や菅原先輩、桜ちゃんや雪乃ちゃんのことだって、私は好きなんだ。


 私は恋をしたことがない。


 藤宮くんが私に抱いている「好き」って気持ちは、どんな気持ちなんだろう?


 みんなに思う好きとは、どう違うんだろう?




「あ、藤宮くんだ」


 廊下の向こうから歩いてくる藤宮くんを見かけて、私はとっさに声をかけようとした。


 しかし、私は挙げた手をさっと引っ込めた。


 いつもだったら友達を見かけるとすぐに声をかけちゃうんだけど、今日はそれができなかった。


 告白されたけれど、気軽に声をかけてもいいものなのかな?


 それって迷惑に思われたりするのかな?


 わからなくて、私は藤宮くんに声をかけられなかった。


 すると、私の横を軽やかに走る黒髪姿が目に入った。


「藤宮くんっ!」


 その人は藤宮くんに駆け寄って、なにか話しているみたいだった。


 だれだろう…?すごくきれいな子。

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