私の恋がはじまった日
長い黒髪はつやつやしてて、凛とした姿勢から品の良さを思わせる。
どこのクラスの子かわからないけど、とっても美人さんだ!
その子はにこにこしながら、なにかを藤宮くんに話している。
藤宮くんの表情は、相変わらずクールではあったけれど、美男美女でお似合いだなぁと思ってしまった。
「ふむ、あれはAクラスの柏崎さんだねっ」
「桜ちゃん!?雪乃ちゃんも!?」
気がつくと私の後ろに、桜ちゃんと雪乃ちゃんがいた。
「やっほー!みおちん」
「美音、次移動教室なのに遅いから迎えにきたよ」
「あ!ごめん!すっかり忘れてた」
「みおちん、藤宮くんになにか用あったん?」
「あ、そういうわけじゃないんだけど…。藤宮くんと話してる子、柏崎さん、って言うの?」
「そ!A組の柏崎 愛華ちゃん。お金持ちのお嬢さまで、超美人。そんでもって優しくて勉強もできるっていうありえないスペックの持ち主なんよ」
「そう、なんだ…」
藤宮くんとどういう関係なんだろう…?仲、いいのかな…?
キーンコーンカーンコーン…。
予鈴が鳴って、廊下にいた生徒たちがあわただしく動きはじめる。
「あっ!予鈴!私たちも急ごっ」
「あ、うん!」
藤宮くんと柏崎さんを横目で見ながら、私はあわてて桜ちゃんと雪乃ちゃんのあとを追った。