私の恋がはじまった日
「うわぁぁ…なんか恥ずかしいこともいっしょに思い出しちゃった!」
小学一年生とはいえ、恥ずかしいことを言ってしまった。
あの子、びっくりしただろうなぁ…。突然大好き!だなんて…。
そういえば、あの日から男の子に会うことはなくなってしまったんだっけ…。
私はしろくまのマスコットキーホルダーをながめながら、首をかしげた。
通学路だと言っていたのに、どうして会えなかったんだろう?
私はそれからも毎日キーホルダーを探した場所を歩いていたけれど、あの男の子に会うことは一度もなかった。
「もしかして大好き!とか言ったのが気持ち悪かったのかな…」
そう思うといたたまれない。
「なんてこと言っちゃったんだ当時の私!」
彼と会えないさびしさと、もうなくしたくないという思いから、しろくまのキーホルダーはこのクッキーの缶に大事にしまっておいたんだった。
大切な思い出といっしょに、恥ずかしいことまで思い出してしまって、私はあわてて缶を閉じた。
あの子は今、どうしているのかなぁ……。