私の恋がはじまった日

「すっかり遅くなっちゃった…!」


 藤宮くん、きっともう待ってるよね。


 私はあわてて昇降口へと向かったけれど、昇降口が近づくにつれて、段々とドキドキしてきた。


 なにを話せばいいんだろう? 


 藤宮くんと、どう接したらいいんだろう?


 そんなことばかりが頭をぐるぐるする。


 ううん!今はそんなことより、待たせてしまってるんだから急がなきゃ!


 急いで昇降口にやってくると、藤宮くんはやっぱりもうそこにいた。


「あ、ふじみ、」


 藤宮くんといっしょにいる女の子の姿が目に入って、私は急ブレーキをかけたけれど、時すでに遅し。


 藤宮くんと女の子は同時に私の方を振り返った。


 藤宮くんといっしょにいたのは、この前廊下で見かけたA組の柏崎さんだった。


 近くで見るとやっぱりとても美人さんで、すっごくかわいい。


「あ、お、お話し中にごめんね」


 私がそう言うと、柏崎さんはゆるゆると頭を振った。


「ううん、私の用事はもう終わったから。それじゃあね、藤宮くん」


「ああ」


 柏崎さんが校舎を出て行く。


 歩き方や仕草ひとつひとつさえもきれいで、私はその様子をぽーっとながめてしまった。


「どうした?」


「あ、ううん!お待たせしてごめんね!」


「俺も今さっき委員会終わったところだから」


「そ、そっか…」


 私たちは並んでゆっくりと校舎を出て行く。

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