私の恋がはじまった日

「…っ」


 椿に相談するべき?


 でもこれは私がなんとかしなきゃいけないことだよね?どうしたらいいんだろう…。


「俺じゃ、美音の悩みを分けてもらえないか…」


 椿の少し沈んだような声に、私はあわてて顔を上げる。


「そんなこと…!」


「ま、無理しなくていいよ。美音が話してくれるまで待ってるし。なんかあったらいつでも言って」


「うん…ありがとう、椿」




「佐藤さん、大丈夫?」


「あ、はい!大丈夫です!」


 サッカー部の練習中も、菅原先輩に心配されちゃった。


「佐藤さんは一人で考えすぎちゃうときがあるからなぁ。無理しちゃだめだよ?」


「ありがとうございます」


「俺はいつでも佐藤さんの味方だからね」


 椿にも、菅原先輩にも心配されてしまった。


 私ってそんなにわかりやすいのかな…?




『少しはだれかを頼れば?』


 藤宮くんがいつだったか私に言った言葉だ。


 本当だったら、きっと真っ先に藤宮くんに頼りたかったのに、それができない。


 だれかに、頼ってみてもいいのかな…?


 でも、だれに…?



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