私の恋がはじまった日
15、私の気持ち
「ここが、藤宮くんのお家…なんだよね…?」
私は桜ちゃんから手渡されたメモに書かれた住所と、マンションの入り口に書いてある住所とを見比べる。
目の前にはものすごい高さのマンションが立っていて、見上げるだけで首が痛くなってしまいそう。
メモにはこのマンションの606号室だと書かれていた。
私は管理人さんにお願いして、マンションに入れてもらった。
雪乃ちゃんが立てた計画は、最近お休みが続いている藤宮くんに授業のプリントを届ける、というもの。
桜ちゃんが「藤宮くんにプリントを届けてあげたいんです!」というと、先生は簡単に住所を教えてくれたみたい。
私は二人の協力のもと、プリントを持ってここにやってきた。
エレベーターで6階まで上がって、私は『606号室 藤宮』と書かれたお家のチャイムを鳴らした。
すると、すぐにドアが開いて、藤宮くんが出てきた。
「藤宮くん!」
顔を見るのがなんだかすごく久しぶりな気がした。
藤宮くんは目を丸くして驚いた。
「佐藤だったのか。管理人からうちに用がある女の子がいるって、さっき連絡があったけど」
なにから話そう…!久しぶりに会えたのがうれしくて、なにから話していいのか分からなくなっちゃう。
そうだ、ひとまずこれを渡さないと!
「あの!これ!」
私は手に持っていたプリントの山を、藤宮くんに渡す。
「藤宮くんがお休みしてた間の授業のプリント」
「わざわざ持ってきてくれたのか。ありがとな」
「それと!あの!少し私と話す時間をもらえないでしょうかっ!?」
思い切ってそう藤宮くんに言うと、藤宮くんは「わかった」と言って、プリントを玄関に置いて出てきてくれた。
「少し歩くか」
「うん…!」
私たちはマンションを出て、近くの河原を歩くことにした。