私の恋がはじまった日
しかし彼女は次の日もそのまた次の日も、なにかを探し続けていた。
そんなにがんばってどうする?
探したって見つからないかもしれないのに。
仲良くなった友達も、結局はまたさよならするだけ。。
それなら最初から大事にしなければよかった。
引っ越し続きのせいで俺はそんな風に考えてしまっていた。
それなのに彼女は毎日毎日必死に探している。
俺はとうとう鬱陶しくなって声をかけてしまった。
「まだ探してんの?」
「え?」
顔を上げた彼女は、きらきらときれいな瞳で俺を見た。
「どうせもう見つからないだろ。あきらめろよ」
「え…?」
「ここんとこずっとなにか探してるだろ。どうしてあきらめないんだ?」
さっさとあきらめた方が楽なのに。
「だ、大事なものなの!だからどうしても見つけたくて…」
「あっそ」
彼女の真っ直ぐすぎる瞳と言葉が、そのときの俺にはただただ腹立たしかった。
大事なものなんて、作るだけむだだ。
どうせ明日にはもうあきらめているだろう。
そう思っていたのに。
彼女はまだなにかを探し続けていた。
なんでだろうな…。
俺は彼女にまた声をかけていた。