あなたくれない

「琳音っ!!」



顔を確認する前に、私は叫んだ。

その人は。

私に気づいたようだった。



顔が認識出来る距離になり、立ち止まったその人は。

間違いなく、琳音だった。





「琳音っ!!」



叫んだ。

琳音はボーッとした瞳で。

私を見つめていた。



「琳音っ!!」
と、私は琳音にかけ寄る。



パキパキと木の枝を踏みつけて。

一本道から外れて。

琳音のもとへ。



だけど。

琳音は、踵を返した。




「待って、待って!! 琳音!!」



私の足のほうが速くて。

琳音に追いついた。



その手を、私は掴んだ。



(あたたかい……!)



生きている。






琳音は、生きている!!










手を握って。

そのあたたかさに、心から安心した。





「琳音! 帰ろう!!」





……見つけた。

見つけることができた。




私の大事な友達。
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