あなたくれない
第三章 秘密

第一話 迫る


駿翔くんは私が落ち着くのを待って、家まで送ってくれた。



「どうして来てくれたの?」
と尋ねると、
「学校に行こうと思ってたらさ、村の大人達が現象が出ているって騒いでいて」
と、駿翔くんは話し始めた。



「そしたら穂希のおばあちゃんが、穂希を見ていないかって村の人達に聞いて回ってて。直感で雑木林に来てみたってわけ」

「あ……」

「村の人達も雑木林に向かって来ていると思う。オレは走って来たから、一番速かったんだ」



次第に向こうのほうから大勢の足音が聞こえてくる。

「いたぞ!」

「やっぱり雑木林にいたんだ!」

「光本さんに、誰か連絡してあげて!」



村の大人達が私達に近づいてくる中、
「穂希ちゃん!」
と私の名前を呼んだのは、琳音のおじいちゃんだった。



「無事だったのか!! 良かった!!」
と、胸を撫でおろしている。



「琳音のおじいちゃん……、……生きてたよ!」
と言いつつ、私は涙がこらえられなくなった。
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