あなたくれない

第二話 理由


米子さんに言われた、事件の共通点がまだわからないまま。

すっかり肌寒い季節になった。

私はずっと学校に行っていない。



土曜日の午前中。

自室のベッドに腰掛けて、私は考えていた。



“くれない様”は。

琳音に取り憑いている。



あの時。

私達が走って逃げた時。



“くれない様”が捕まえたのは、琳音だった。



なぜだったんだろう?




私のほうが足が遅い。

回り道をして。

“くれない様”からも近い位置にいた。



だけど。

捕まったのは。

琳音だった。






そもそも呪いをかけられたのは、私なのに。

殺される理由があるのは、私なのに。




(“くれない様”は言っていた。私が似ているって……)




誰に?

そのおかげで、私は捕まえられなかった?



でもそれだと矛盾してくる。

“くれない様”は、今は私を捕まえようとしているんだもん。

そして殺そうとしている。



「何か……、何かがあるはず」



スマートフォンが振動した。

見ると、駿翔くんからの着信だった。
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