あなたくれない

午後になった。

スマートフォンにメッセージがきて。

駿翔くんが《家の前まで来たよ》って送ってくれていた。



私は玄関まで走り、ドアを開けると。

駿翔くんが立っていた。



「よっ」
と、駿翔くんが片手をヒョイッとあげる。



「穂希のおばあちゃんに、会える?」
と、駿翔くんが言うと、
「もう許可は出したよ」
私の背後から現れたおばあちゃんが、ぶっきらぼうに答えた。



駿翔くんと顔を見合わせて、笑ってしまった。




「穂希、どこに行きたい?」
と、駿翔くんが聞いてくれる。



「私、行きたいところがあるの」



おばあちゃんが、
「気をつけて行くんだよ」
と、見送ってくれた。






道を並んで歩くと。

心臓が踊っているみたいに、嬉しそうに跳ねた。



「今日の穂希、可愛いじゃん」
と駿翔くんが、朝から一生懸命にヘアアレンジを頑張った、私の髪の毛を撫でる。



「!!」




思わず顔が赤くなる。

それを見た駿翔くんが慌てて、
「ごめん」
と言って、でも笑った。
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