あなたくれない
泣いている私の顔を覗き込み、優しい笑顔でこう言ってくれる。
『泣かなくても大丈夫だよ、そばにいるから』
みんなと仲良くなれなくても。
琳音がいてくれるから。
大丈夫だって思えた。
私にとって琳音は、希望の光だった。
「ひとりで来た?」
と、琳音は雑木林の出入り口の前で立ち止まる。
私は頷き、
「琳音、昨日のことは誤解だから」
と話し始めると、
「あー、いいから。そういうの、もう」
と、琳音はまるで何かを追い払うみたいな仕草で片手を振る。
「話を聞いてくれないの?」
涙声になりつつ、琳音の腕を掴む。
琳音は私の手を振り払って、
「触らないでっ」
と、睨む。
「えっ……」
「そうやって泣いて謝ったら、何でもかんでも許してもらえると思ってる?」
「そんなことっ」
「ないって言える? 穂希はさ、泣いたら勝ちだもんね? 泣いたら全部うまくいくでしょう?」