あなたくれない

「そんな……っ!」
と、駿翔くんもショックを受けている。



「あなた達が今するべきことは、その子を助けることじゃない」
と、米子さんは言い放つ。



「え?」

「わかるでしょう? “くれない様”から逃げられるように、準備をするの」

「準備?」

「“くれない様”を調べなさい。調べて、知るの」



米子さんに駿翔くんが、
「教えてはくれないんですか?」
と尋ねると、
「甘えないで。私には道を示すことしか出来ないわ」
なんて、米子さんは厳しい口調で言った。






私達は黙って。

まるで叱られた子どもみたいに。

バツの悪い表情をしていた。



「……黛……」
と、駿翔くんが呟いた。



「!?」



米子さんの表情が、少し変わったことに私は気づいた。



「米子さん?」

「え? ううん、何でもない」
と、米子さんは笑顔を見せる。



「黛 圭一って人の本が隣町の図書館にあったんです」



駿翔くんは思い出したように、話し始める。
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