あなたくれない

第三話 黛 夕子


図書館に着いた。

私達は迷うことなく、黛 圭一の本を二冊とも持って。

読書室に直行した。






駿翔くんが一冊目、私が二冊目の目次をざっと見る。

やっぱり“くれない様”の文字はない。



「私達の前に“くれない様”を目覚めさせた小学生の男の子達がいたって、おばあちゃんが言っていたけれど」



小声で駿翔くんに話しかける。



「えっ、それっていつ? 載ってないかな?」

「おばあちゃんが結婚してすぐって言ってた。お母さんが生まれる前って言っていたから……、四十五年より前ってこと。おばあちゃんが結婚した年齢は二十三歳だから……、四十五年〜四十七年前の間かな」

「ってことは、四十七年前として。2023年から引いたら……、1976年ってことか」



私達は目次のページの年表を見て確認する。



「……ダメだ。この本、1960年以降のことは書いてないよ」

「本当だ。最後の事件が1960年だ」
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