あなたくれない
「守る方法、ですか」
「村からも責められて、黛家に居場所なんかない。昔のこととはいえ、村には“くれない様”がいる。風化しているようで、全然していない」
「確かに。わらべ唄だって、ずっと伝わってきていますから」
「祖父は全てを教えて、自分で自分を守れるように知恵をつけようとしてくれたみたい。だけど、あの本で全ては書けなかった」
米子さんはふぅっとため息を吐いた。
「それで? あなたは今日、私に聞きたいことがあって来たんでしょう?」
と、何もかもお見通しだという目で言われ、私は大人しく頷く。
「考えても、わからないことから聞きます。黛 圭一さんと米子さんは、黛 夕子の子孫なんですか? それも、直系の……」
「直系……、考えたことがなかったけれど、そうね。黛 夕子は確かに私の直系の先祖ということになるわね」
「ーーということは、黛 夕子が産んだ息子っていうのは」
米子さんは遠い目をして、
「祖父の父よ。私にとっては曽祖父にあたる人ね」
と、話す。