あなたくれない

琳音を殺す?

助けたいのに。

また一緒に笑って写真を撮って。

仲良くしたい人なのに。



「そうじゃないと、村は終わるのよ」



米子さんがより一層厳しい声で言う。



「二度も逃げたあなたなら、きっとやれる。逃げ切ることが出来るはず」

「嫌……っ! 嫌ですっ!!」

「穂希ちゃん、いい加減にして」



米子さんは静かに、でもハッキリと言う。



「泣いて嫌だと言って、このことから逃げられるはずがないでしょう?」



「……っ」

「あなたが立ち向かうのよ。あなたにはその役割があるの」

「でもっ」

「穂希ちゃん、あなたが殺すのは“くれない様”だということを忘れないで」



嫌だ。

嫌で仕方ない。

“くれない様”を殺す?

祀られている人を殺すなんて、怖い。

それにこれって、殺人じゃん。



だって。

“くれない様”は琳音の体の中にいるんだから。



琳音を殺すことと、何も変わらないじゃん。




「……方法は伝えたわ。あなたが殺さなければ、あなたは死ぬし、村人も死んでいく。よく考えるのね」
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