あなたくれない

第四話 明かり


泣いたあとの頬は、涙が乾燥したせいなのか、ヒリヒリ痛む。

夕暮れの風が冷たくて。

余計に頬が痛む。



村のそばの山を眺めて。

私は琳音のことを考えていた。



『泣かなくても大丈夫だよ、そばにいるから』



琳音がくれた言葉を思い出す。



(殺すなんて出来ない)



あの子は。

私の希望だから。






……目の前が揺らぐ。

また泣いてしまった。




(そばにいてよ)



涙を拳で拭う。



(琳音……、琳音がそばにいないと私、泣いてばっかりいるよ)



俯いて。

ギュッと目をつむる。



琳音はもっと怖い思いをしているんだ。

米子さんはあんなふうに言っていたけれど。

私は、琳音を助ける。

必ず。






目を開けると。

村の景色が。

真っ赤だった。






(……この赤さ!)



夕暮れの赤さじゃない!!




空を見上げた。

真っ赤な輪を持つ、赤い月が見える……!
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