あなたくれない
「琳音、琳音……っ!! 違う、私……っ!!」
「もういいよッ!!!」
と、琳音が叫んだ。
そして祠の中に、強引に両手を入れる。
ガタガタッと音をさせて、琳音はろうそくの風除けのカバーを外した。
「琳音!!!」
「うるさいッ!! 黙れ!!!」
琳音の顔が歪んでいて、そのことで視界が歪んでいるんだとわかり、頬を伝う涙に気づいた。
琳音はカバーを乱暴な手つきで投げ捨て、
「あんたなんか消えろッ!!!」
と、私を睨む。
そして。
琳音は。
ろうそくの火を、吹き消してしまった。
暗かった洞窟の中が、更に暗くなった気がした。
「“くれない様”? いるんでしょう!?」
琳音が祠の中に話しかける。
暗い空間に日本人形の白い肌が、妙に白く浮き出て見える。
「私、この子要らない!!」
と、琳音が私を指差す。
「光本 穂希を、消してほしい!!!」
琳音がそう叫んだ直後、洞窟内にビュウッと風が吹いた。
突然の風のせいなのか。
友達からのつらい言葉のせいなのか。
私は背筋が冷たくなる。