あなたくれない

（なんでかな？　緊張も不安もないなぁ）



ただ。

聞いてほしい。

それだけだからかな？



私の心はある意味、安心しきった状態で、
「……好きだよ」
と、この気持ちを言葉にした。



『……待って。なんで今、伝えてくれたの？』



駿翔くんのほうが不安そうな声で聞いてきた。



「困らせちゃったかな？」
と、無理やり笑ってみると、
『……諦めんなよ』
なんて返事が返ってきた。



「え？」

『“くれない様”に負けんなよ。オレも一緒に戦うから。穂希のこと、絶対に助けるから』

「うん」

『琳音のことだって、ふたりで助けようよ。それで仲直りしよう？　ずっとケンカしたままじゃなくてさ』

「うん」

『だから、だからさ、穂希……』



駿翔くんの声が湿っぽく聞こえた。



『オレのそばにいてよ』



涙の粒が。

次々と頬を伝っていく。



……そばにいたいよ。