あなたくれない

この気持ちを。

こんな形で伝えなくちゃならないなんて。



だけど。

何も伝えないまま。

もしかして、殺されたら。



(私、死んでも死にきれないもん)




『大丈夫? そばに行こうか?』

「もう夜遅いから、大丈夫だよ。ごめんね、急に……」



電話を切ろうとしたら、駿翔くんが『待って』と言って、
『ずっと、オレだって好きだったよ』
と、涙声で伝えてくれた。










数日後。

村のお寺で集会が開かれた。

暮徳庵主さんが村の大人を集めたらしく、私もそこに参加するように連絡があった。



おばあちゃんとお父さん、お母さんと私で、夕方6時頃、お寺の本堂に向かう。

村の大人達もだいたい集まっていたけれど、その中に琳音の家族の姿が見当たらなかった。



「須浜さんがいないね」
と、おばあちゃんも気づいたらしい。



「忙しいのかしら。変ね」



おばあちゃんとお母さんはキョロキョロと本堂の中を見回す。
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