あなたくれない
「えっ?」
「あなたなんかいらない。取り憑かない」
「ど、どうして?」
「あなたに取り憑いても、あなたを殺すことが叶わないじゃない」
「!」
「言ったはずよ、あなたを殺すって」
“くれない様”は私から離れた。
冷たい目で私を見つめている。
「いちばん、殺したい相手なのよ」
その時、
「穂希!!」
と、呼ばれた。
「駿翔くん!! どうして!?」
駿翔くんは琳音に取り憑いている“くれない様”を見て、
「穂希に何もするな!!」
と、ポケットからライターを取り出した。
私に向き直った駿翔くんは、
「村の大人達も穂希を探してる! 米子さんが多分ここだろうって教えてくれて、オレが先に来たんだ」
と、教えてくれた。
「あなた、誰?」
と、“くれない様”はライターを警戒しつつ、尋ねる。
「あなた、知らない。関係ない。今は、黙っていてよ」
「穂希のことを守るんだ! 危害を加えるなら、火をつけるぞ!!」
駿翔くんに、
「だめ!」
と、私は大声を出す。
「琳音が死んじゃう!!」
「でも!!」