あなたくれない
おばあちゃんが琳音を見る。
琳音ははっきりした口調で、こう言った。
「自分の罪の償いは、するつもりです」
「そんな……!」
「穂希、今まで本当にありがとう。私、“くれない様”に取り憑かれていた時のこと、ぼんやりとしか覚えていないけれど」
と琳音が、私を見た。
「何度も立ち向かって、何度も救おうとしてくれたこと、すごく嬉しかった」
「……琳音」
「あんなに怖がりだったのに、すごいなぁって思って。強くなってくれたんだなぁって、今考えても泣きそうになる」
琳音はそう言って、
「あの日、怒ってごめん。ずっと悔しかったから」
と、俯いた。
「悔しいって?」
「だって、穂希は私にないものがあるでしょう? 羨ましいと思っていたら、いつの間にかそれが憎くなっちゃって」
私は、
「琳音にないものなんか、何もないよ」
と、琳音を真っ直ぐに見て答えた。