あなたくれない
第三話 行方知れず
……目が覚めると、見慣れた天井だった。
自分の部屋じゃないけど、ここがどこかはわかった。
私の家の、仏間だ。
布団の中で横たわっていた。
「穂希、気がついた?」
お母さんの声。
安心して、私の目の端から涙がこぼれる。
布団から起き上がると、おばあちゃんとお父さんもそばにいた。
「私……」
「穂希、あんた、雑木林から出て来て気を失ったの、覚えている?三軒隣の原西のおじさんがあんたに気づいて、家まで連れて来てくれたの」
お母さんの言葉に、私は黙って頷く。
「何をしていたんだ、雑木林で!」
と、おばあちゃんが怒鳴った。
私の肩がビクッと跳ねる。
「お義母さん、穂希がビックリしますから」
と、お父さんがおばあちゃんを睨む。
「ビックリする? こっちのセリフだ! 穂希、お前、まさか洞窟に近づいてはいないだろうね!?」
「……おばあちゃん、私……」
「近づいたのか!! この馬鹿者がっ!!」
おばあちゃんの大声に、私は泣いてしまう。