あなたくれない
「お義母さんっ!」
お父さんが立ち上がった。
おばあちゃんはお父さんを見上げて、
「浩二さん、あんたも村の人間なんだ、わかっているだろう!?」
と、睨み返す。
「“くれない様”が目覚めた。穂希のせいで!! どう責任を取るんだ!? 死人が出るのかもしれない!!」
「死人なんて、母さんは大袈裟だよ!」
お母さんは私を抱きしめつつ、おばあちゃんを非難した。
そして、「大丈夫だからね、穂希!」と、私の背中をさすってくれる。
「娘に甘いのは結構だけどね! あんた達がそうやって甘やかすから、その子が何をやっても許されると思い込むんだ!!」
「そんなこと、穂希は思っていません!」
おばあちゃんとお父さんが睨み合う。
「そうじゃないなら、何故、洞窟に行ったりするんだ!! どうして、こんな状況になるんだ!! “くれない様”は見逃してはくれない!!」