あなたくれない
「穂希っ?」
と、お母さんが私の体を抱き寄せる。
「大丈夫、大丈夫だからね」
琳音のおじいちゃんは、
「何か知っているんだな?」
と、私に詰め寄った。
「し、知らない……、どうなったのか、知らない……」
そう答えた私に、琳音のお母さんは、
「どういうこと!?」
と、強い口調で返した。
「あの、穂希を責めないでください」
「そうよ、この子だってきっと大変だったのに」
お父さんとお母さんが言って、私を抱きしめてくれる。
「……この子達は村の掟を破ったんですよ」
と、おばあちゃんが口を開いた。
「母さんっ!」
「奈緒子、黙っていても仕方がないんだ! これは、もうウチで解決出来る話じゃない!」
みんな、おばあちゃんに注目する。
「光本さん、どういうことですか?」
琳音のお母さんの声が震えている。
「穂希、部屋に行きなさい」
と、お父さんが私を立たせる。