あなたくれない
「知らない」
「“くれない様”に捕まって、どっちのほうへ行ったの?」
「知りません……、本当に、知らないんです」
私は泣きじゃくりながら、雑木林でのことを改めて話した。
琳音が怒っていたこと。
私に呪いをかけたこと。
琳音の悲鳴を聞いて、無我夢中で逃げたこと。
私の話を聞き終わった琳音のお母さんは、
「ああぁぁあ、琳音えぇぇええっ!」
と、絶叫して泣いた。
私はそんな様子を見ているのがつらくて、思わず目を逸らす。
「しっかり見ておくんだ、穂希!」
と、おばあちゃん。
「これが、お前がやったことの結果だ!」
「……っ!」
琳音の家族は。
泣いて、わめいて。
私をののしり。
そして、帰った。
夜遅く。
自分の部屋のベッドで、スマホを見ていた。
画面には、この前の春に琳音と撮った写真の画像。
ふたりともにっこり笑って、楽しそう。
「琳音……」