あなたくれない
駿翔くんの茶髪も、オレンジ色に輝く。
「キレイ……」
と、思わず呟いていた。
「ん?」
「あ、なんでもないよ」
実際に駿翔くんはキレイな人だった。
中学二年生の時にこの村に引っ越して来た時から今でもずっと、村の女の子達は駿翔くんに夢中だ。
その容姿は美しく、目を引く。
琳音いわく、「芸能界にいそうな美形」で、「そこらへんのアイドルより神ってる」存在なのだそうだ。
そのうえ、頼れるお兄さんタイプで、彼に甘えたい女子が続出している。
「最近さぁ」
と、駿翔くんは口を開いた。
「流行ってる噂話って知ってる?」
「え? 何?」
駿翔くんはニィッと口の端を持ち上げて、私に顔を近づけた。
(えっ!?)
一瞬、キスをされるのかと思ってしまい、心臓が破裂しそうになったけれど。
駿翔くんの顔はするりと顔の横に流れて、耳元に来る。
「怖い話、聞く勇気はある?」
と、囁かれる。