あなたくれない

苦手な数学の教科書をパラパラめくる。

参考書と照らし合わせて、なんとか解き方を頭に入れるために、同じような問題を何度も何度も解いた。



(……どれくらいの時間が経ったんだろう?)



そう思って顔を上げて、机に置いている木枠のシンプルな置き時計に視線を移した。



その時。

スタンドの明かりが、点滅した。



「?」



なんで点滅したんだろう?

停電とかの、前触れ?



少し不思議に思ったけれど、まぁいいか、とシャープペンシルを持ち直す。

ノートの中、公式に当てはめて、数字を書いていく。

すると……。






ボキッ!!!







シャープペンシルが。

折れた。





「!?」




それも、真っ二つに。




「なんで!?」



私、そんなに力を込めて持っていたわけじゃない。

それに、持っていた場所より、ほんの少し上の部分が折れている。

……そう、触れていない部分が。
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