あなたくれない

背中に、嫌な汗が流れる。



なんで?



スタンドの明かりがまた、点滅した。



「!?」




その拍子に、本棚に入れていた本が一冊、バサっと落ちた。



私は、勉強机に座ったままで。

本棚は勉強机の背後にあるのに。



「揺れた? 揺れて……ない、よね?」



地震なのかを確認するために、部屋に吊るしているモビールを見たけれど、それは揺れていない。




……なんで!?





薄気味悪くなり、部屋から出た。

一階には、多分おばあちゃんかお母さんがいる。

ふたりのところに行こう。

ひとりでいないほうがいい。



廊下を歩いて。

階段を下り始める。



ピシッ!!



階段を照らす電気が、嫌な音を立てた。




「何これ、もうやだっ」




立ち止まり、電気を見上げると。



ミシッ……、ミシッ……、ミシッ……。



二階の廊下がきしむ音。




なんで?

だって、二階には。




誰もいないはずなのに!?






耳をふさいで。

私は急いで階段をおりる。
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