あなたくれない

第五話 米子と唄


学校には行かないまま。

更に二週間が経った。

定期テストも結局は受けないままだった。



夕方、リビングで夕食の準備の手伝いをしていると。



……ピンポーン。



インターホンのベルが鳴り、お母さんと顔を見合わせた。



和室からおばあちゃんも出てくる。



「私が出る」



おばあちゃんが玄関に向かう。

心配で、お母さんとふたり、おばあちゃんの後を追う。



「どちら様ですか?」

「……開けてー」



!?



少し掠れた、低いおばあさんの声。



「開けてー、話したい」



おばあちゃんとお母さんが顔を見合わせる。



「まさか、また米子さん?」
と、お母さんが小声で言う。



おばあちゃんは、眉間にシワを寄せて頷く。



「開けてー」
と、玄関のドアがトントン、叩かれる。



「何の用だ?」
と、おばあちゃんが厳しい声。



玄関のドアを開けようとはしない。



米子さんは、
「開けてー、話したいー」
と、ドアを叩く。



はぁっと、ため息を吐いて、おばあちゃんは玄関のドアを開ける。
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