あなたくれない

《信じられない。

裏切られるとは思ってなかったよ》



何のことか、よくわからなかった。

返信に迷っていると、また琳音からのメッセージが届く。



《駿翔くんとキスしたって本当なんでしょう?》



思わず「えっ」と、声が出た。

慌てて、
《そんなことしてない。

誰がそんなこと言ってたの?》
と、送る。



《誰が言ってたかなんて問題じゃない。

穂希は私の気持ちを知ってて、私を裏切ったんだ?

最低だね》

《違うよ!

キスなんかしてない!!

信じてよ!!》



そう返信したけれど、いくら待っても琳音からのメッセージは来なかった。



(あの時だ)
と、私はゾッとした。



耳元で囁かれた時。

キスをしているように誤解されたのかもしれない。

……でも、誰に?



ううん。

こんな狭い村だもん。

誰だって見ている。

そしてその誰もが、噂話に飢えている。



すぐに広まる。

すぐに知られる。

みんなに。



ちゃんと話したくて、琳音に電話をかけた。

だけど。



ツーツーツーツー……。



着信拒否をされていた。
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