あなたくれない
第二章 襲撃
第一話 図書館
次の日。
私は駿翔くんとバスに乗っていた。
午前中。
もう学校が始まっている時間。
「駿翔くん、学校はいいの?」
「いいの。こっちのほうが大事」
即答してくれた駿翔くんに、こっそりときめく。
隣町の図書館は、内日暮村を出てすぐの山の中にある。
村から出ているから、一応、図書館の住所は隣町のもの。
山の中とはいえ、バス停留所のすぐそばに建っているので、比較的行きやすかった。
図書館に着いて。
私達は図書館に設置されている検索機の前に立った。
『内日暮村』、『歴史』を検索画面に入力する。
すると画面には三冊の本の題名が表示された。
「どれも二階の史料棚に置いてあるんだな」
「行ってみよう」
階段を上って右手のほうに、検索結果に表示されていた本棚の番号を見つけた。
私達は頷き合い、目指す本棚へ近づく。
「これ、小学生の頃に調べた本だ」
と、私は駿翔くんにその本を手に取って見せる。