あなたくれない
メッセージをどんなに送っても、無駄だった。
不安な気持ちと焦る気持ちが混ざったような、黒くて暗い気持ちのまま。
私はベッドに入った。
翌日。
高校の校門を通り、校舎へと続く表広場を歩いていると、知らない女子生徒が近寄って来た。
「あんた、光本さん?」
私が頷くと、
「へぇー」
と、その女子生徒は舐めるように私を見た。
値踏みが終わった頃、汚いものでも見るような目つきになり、
「琳音が可哀想」
と、呟いた。
「えっ?」
「光本さん、見かけによらないね。琳音の好きな人、奪ったんでしょう?」
「そ、そんなことしてない」
「ふぅん、しらばっくれるんだ?」
女子生徒は何故か笑う。
「……どっちでもいいけどさ、光本さん、だいぶ琳音は恨んでいるよ。これ、渡せって頼まれたの」
「何ですか?」
「琳音から。なんか、そこに来いってさ」
女子生徒から手渡された、四つ折りにされた紙に視線を落とす。
《今日の放課後、雑木林に来て》