あなたくれない
「これが、“くれない様”の現象」
恐ろしくなって。
私の鼓動は速くなっていく。
「穂希、大丈夫? 顔色が良くないよ」
「うん……」
その時。
近くにいた、村のおばさんが話しかけてきた。
「大丈夫? 川のほうに行っていたの? 真っ青な顔して……もう家に帰りなさい。ここは大人に任せたほうがいいよ」
「え?」
「あれ? 川から来たんじゃないのね」
「川で何かあったんですか?」
駿翔くんの質問に、おばさんは小さな声でこう答えた。
「村の人が川で……、……亡くなったそうよ」