あなたくれない
第二話 現象
「亡くなったって……ご病気か何かですか? 事故とか?」
と、駿翔くんが重ねて問うと、
「それが溺死だって。川に頭を押さえつけられたみたいな感じらしいのよ。怖いわよね」
おばさんは自分の腕をさすりつつ、答える。
「溺死? あの、頭を押さえつけられたって……」
「事件かも知れないって」
おばさんは声をひそめた。
「誰かがその人の頭を川に押さえつけて、殺したんじゃないかって……」
(そんな……!)
「誰が亡くなっていたのか、私は知らないんだけど……。怖いわよねぇ、可哀想に……」
おばさんはぶるっと身震いをする。
それから何かを思い出したように、
「あら? あなた達、どこの子? 今日、学校は?」
と、私達を交互に見る。
曖昧に笑ってごまかし、私達はその場から離れた。
「誰が亡くなったんだろう?」
「あのおばさん、明らかに殺人事件って感じでオレ達に話してたけど、本当なのかな?」