あなたくれない
「わかんない……」
駿翔くんに送ってもらって、家に帰ったら。
おばあちゃんが鬼の形相で玄関に立っていた。
「早く帰って来いと言ったはずだよ、穂希!」
「おばあちゃん……、ごめんなさい」
駿翔くんが、
「すみません、オレが連れ回してたんです」
と、庇ってくれた。
「図書館に行こうって言ったのも、ちょっとバス停のそばで立ち話してたのも、オレです。すみません」
そんな駿翔くんにおばあちゃんは厳しい目を向ける。
「現象が起きた、早く帰れと言われて、なぜそれが守れないだ? ……駿翔くん、穂希を送ってくれてありがたいけれど、これからはもうこの子に構わないでもらいたいんだ」
「え?」
「おばあちゃん!? なんでそんなことを言うの!?」
おばあちゃんは厳しい顔つきのまま、
「穂希、あんたにはわからないのかい? あんたと一緒にいたら、駿翔くんだって何を言われるかわかったもんじゃない!」
と、言った。
「!」