あなたくれない
「あの子も頑固そうだね」
とおばあちゃんは呟いて、ため息を吐いた。
おばあちゃんも一緒に私の部屋まで来て、
「川で死人が出たことは知っているかい?」
と、尋ねてきた。
私は頷き、
「川に頭を押さえつけられて溺死しているって聞いた。でもどこの誰が亡くなったのかは知らない」
と答えると、おばあちゃんは悲しそうな表情で、
「笹川さんだよ」
と、呟いた。
「笹川のおばあちゃん!?」
笹川のおばあちゃんは。
確か、川の近所に住んでいて。
おばあちゃんの友達だった。
「子どもの頃から、あの人は水嫌いだったんだ。それがあんな最期を迎えるなんて」
「事件だって聞いたけれど、犯人は誰なんだろう?」
私の疑問に、おばあちゃんは悲しい目をしたまま、
「決まっているじゃないか。“くれない様”だよ」
と、言い切った。
「なんでそう思うの?」
「現象が出ていたじゃないか」